相談するママ元夫が再婚したと聞きました。養育費って、もう払われなくなるんでしょうか…。



不安になりますよね。再婚したからといって、すぐに決まるわけではありません。順番に確かめていきましょう。
自分が再婚を考えている人も、元配偶者が再婚したと知った人も、頭に浮かぶのは同じ疑問だと思います。「再婚したら、養育費は止まるの?」「減らされるの?」「もらい続けていいの?」。インターネットには、強い言い方の情報もあって、余計に不安になります。
養育費の話は、「再婚したかどうか」だけでは決まりません。 分かれ目になるのは、「だれが再婚したか」と「再婚相手と子どもが養子縁組をしたか」です。この記事では、法テラス・裁判所・法務省の案内と民法の条文で確かめられる範囲に絞って、考え方を整理します。
最初に結論を言っておきます。
養育費は、受け取る側が再婚しただけで、請求できなくなるわけではありません。ただし、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合は、原則として養育費を請求できなくなる、と法テラスは案内しています。再婚は、養育費の増額・減額を求める「事情の変更」の一例とされ、話し合いや調停で見直しを求められます。
ここでの「原則として」は、すべてのケースで自動的に当てはまる、という意味ではありません。取決めの内容や、実際の暮らしの様子によって、判断は変わります。個別の見通しは、弁護士や法テラスで確認してください。
あわせて読みたい:養育費はいつまで?18歳か20歳か大学卒業か|法務省の見解と終期の決め方
先に整理:場面ごとの考え方
最初に、場面ごとの考え方を一覧にします。くわしくは、このあとの見出しで説明します。
| 場面 | 考え方(法テラス・裁判所の案内より) |
|---|---|
| 受け取る側が再婚した(養子縁組なし) | 再婚しただけでは、養育費を請求できなくなるわけではない |
| 受け取る側が再婚し、再婚相手と子が養子縁組をした | 再婚相手が第一次的な扶養義務者となるとされ、原則として請求できなくなる |
| 払う側が再婚した | 事情の変更の一例。増額・減額を求める話になりうるが、公的な案内に一律の線はない |
| 見直したいとき | 協議、家庭裁判所の調停・審判、ADRで求める |
取決めを見直す方法は、「話し合い」「調停」「審判」です。自分だけの判断で、支払いを止めたり、減らしたりする方法は、公的な案内に見当たりませんでした。
受け取る側が再婚したとき


再婚しただけなら、養育費は止まらない
法テラスのよくある質問では、「監護親が再婚した場合でも、養育費を請求し続けることができますか」という問いに、次のように答えています。監護親が再婚したというだけでは、養育費を請求できなくなるということはない、という説明です。
理由は、再婚相手と子どもの関係を考えると分かります。再婚相手は、子どもの親ではありません。法律上、子どもを扶養する義務を、当然には負っていません。民法877条1項が互いに扶養義務を定めているのは、直系血族と兄弟姉妹で、再婚相手と連れ子は、そこに含まれていないからです。
実の親としての、子どもを扶養する義務(民法877条1項・817条の12第1項)は、再婚しても残ります。
再婚相手と子が養子縁組をしたとき
法テラスの案内では、続けて次のように説明されています。監護親の再婚相手と子が養子縁組した場合には、監護親の再婚相手が第一次的な扶養義務者となるとされているため、原則として養育費を請求することはできなくなる、という内容です。
民法には、養子縁組の効果として、次の条文があります。
| 条文 | 書かれていること(要約) |
|---|---|
| 民法809条 | 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する |
| 民法818条3項 | 子が養子であるときは、養親を親権者とする |
法務省のQ&A(民法編)には、一方の親の配偶者と養子縁組が成立すると、養親とその配偶者である実親が共同親権者となり、他方の実親は親権者ではなくなる、という説明もあります。養子縁組は、親子の法律関係そのものを変える手続です。



再婚しただけと、養子縁組までしたのとでは、全然違うんですね。



そうなんです。ここが一番の分かれ目です。養子縁組をするかどうかは、お子さんの将来にも関わるので、養育費だけで決めないほうがいいですよ。
「再婚相手が子どもを育てている」だけでは足りない
再婚相手と子どもが同居し、生活をともにしていても、養子縁組をしていなければ、再婚相手は法律上の扶養義務を負いません。法テラスの案内に出てくる「第一次的な扶養義務者」は、養子縁組をした場合の話です。
もっとも、再婚相手の収入によって、受け取る側の暮らしに余裕ができたときは、「事情の変更」として、養育費の見直しを求められる場面もあります。余裕があるかどうかの判断は、一律の基準が公的な案内に見当たりません。個別の事情で変わるため、調停などで話し合うことになります。
養子縁組をするときの手続上の注意
15歳未満の子を養子にする場合、法務省のQ&Aでは、共同親権のときは、父母が共同で代諾する必要がある、と説明されています。一方の親が反対する場合は、特定事項の親権行使者を定める審判を申し立てることが考えられるものの、家庭裁判所がこの審判をできるのは、子の利益のために特に必要がある場合に限られる、とされています。
養子縁組を考えるときは、お子さんの氏や、相続など、養育費以外の影響もあります。ひとりで決めず、窓口や専門家に相談してください。
払う側が再婚したとき
再婚は「事情の変更」の一例
裁判所の案内では、養育費の取決めのあとで、収入の変動、子の進学、再婚などの事情の変更があれば、増額または減額を求められる、と説明されています。再婚が、見直しを求める理由の例として挙げられている形です。
法テラスは、増額・減額を請求できる場面を、次のように説明しています。養育費の額が決められた当時に予測し得なかった個人的、社会的事情の変更が生じ、現在の額では実情に合わなくなった場合には、増額・減額を請求できる、という内容です。
払う側の再婚で、何が変わりうるか
払う側が再婚した場合に、養育費が変わるかどうかを、直接述べた公的な案内は見当たりませんでした。次のような点が、話し合いの材料になる、と考えられます。
| 払う側に起きうる変化 | 見直しの話になるか |
|---|---|
| 再婚しただけ | それだけで当然に減るわけではない。実の子への扶養義務は残る(民法877条1項・817条の12) |
| 再婚相手との間に子が生まれた | 扶養する人が増える。事情の変更として、見直しの話になりうる |
| 再婚相手の連れ子と養子縁組をした | 扶養する人が増える。事情の変更として、見直しの話になりうる |
| 再婚して収入が大きく変わった | 増額や減額の話になりうる |
払う側が「再婚したから減らす」と一方的に決めることは、取決めの変更手続を経ていない限り、公的な案内で認められた方法ではありません。
扶養義務者が複数いるときの順序や、扶養の程度・方法は、当事者の協議が調わなければ、家庭裁判所が定めることになっています(民法878条・879条)。



再婚で家族が増えたら、減額の話は出てくるんですね。



出てくる可能性はあります。ただ、金額は事情で変わります。決めつけずに、手続を使って話し合うことが大切ですよ。
算定表で、家族が増えたときはどう数える?
裁判所の算定表の説明書では、子の指数が、親を100として、0〜14歳は62、15歳以上は85とされています。家族構成が変わったときの具体的な計算の仕方は、公的な案内で確認できませんでした。弁護士や、調停の場で相談してください。
見直しを求める手続


順番は「協議→調停→審判」
法テラスの案内では、増額・減額は、父母の協議、家庭裁判所の調停・審判、ADRによって請求できる、とされています。
| ステップ | 中身 |
|---|---|
| 協議(話し合い) | まず元配偶者と話し合う |
| 養育費の調停 | 家庭裁判所で、調停委員を交えて話し合う |
| 審判 | 調停がまとまらないとき、裁判官が判断する |
裁判所の案内では、手続は、養育費請求調停・審判や婚姻費用分担の調停・審判と同じとされています。申立先や書類は、申し立てる家庭裁判所のサイトで確認してください。
取決めの形によって、準備するものが違う
| 取決めの形 | 見直しで使う書類の例 |
|---|---|
| 公正証書 | 公正証書の写し、現在の収入の資料、事情の変更を示す資料 |
| 調停調書・審判書 | 調書や審判書の写し、収入の資料、事情の変更を示す資料 |
| 口約束・離婚協議書 | 協議書の写し(あれば)、これまでの支払いの記録、収入の資料 |
事情の変更を示す資料は、たとえば、再婚の事実や養子縁組の有無が分かる戸籍の書類、収入の変化が分かる資料などです。何が必要かは、裁判所によって案内が違うことがあります。
再婚するときに、一緒に確かめたいこと
児童扶養手当は、再婚と事実婚で影響を受ける
沖縄県の案内では、児童扶養手当が受けられない場合の一つとして、児童が母または父の配偶者(内縁関係を含む)に養育されているとき、が挙げられています。再婚だけでなく、事実婚(内縁)も含まれる点に注意が必要です。くわしい条件は、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
あわせて読みたい:母子家庭の手当に所得制限はある?児童扶養手当の限度額・親と同居・もらえない理由を整理
ひとり親控除も、事実上の婚姻関係で変わる
国税庁の案内では、ひとり親控除は、婚姻をしていないことのほか、事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないことも要件です。再婚や事実婚のあとは、ひとり親控除の対象にならなくなる場合があります。
養育費を受け取る前提で、家計を考えすぎない
再婚して、養育費の取決めが変わる可能性があるなら、見直しが決まるまでの間の家計は、慎重に考えておくと安心です。養育費が減る、あるいはなくなる場合も、児童手当や就学援助など、使える制度は別にあります。
相談先
| 相談先 | 聞けること |
|---|---|
| 法テラス | 収入と資産が基準以下の人に、無料の法律相談と、弁護士・司法書士の費用等の立替え(同一問題の無料相談は3回まで) |
| 家庭裁判所 | 養育費の調停・審判の手続。金額の見通しは答えてもらえない |
| 自治体のひとり親相談窓口 | 養育費の取り決めの案内、児童扶養手当などの手続 |
| 弁護士会の相談窓口 | 養子縁組を含めた、個別の見通し |
金額の交渉や、「減額になるかどうか」の見通しは、弁護士に相談してください。 この記事は、公的な案内と条文にもとづく整理で、結果を約束するものではありません。
よくある質問
- 養育費は、再婚したらどうなりますか?
-
受け取る側が再婚しただけでは、養育費を請求できなくなるわけではない、と法テラスは案内しています。再婚相手と子が養子縁組をした場合は、再婚相手が第一次的な扶養義務者となるとされ、原則として請求できなくなります。再婚は、増額・減額を求める事情の変更の一例です。
- 元夫(相手)が再婚したら、養育費は減りますか?
-
払う側が再婚しただけで、当然に減るわけではありません。再婚相手との間に子が生まれたなど、扶養する人が増えた場合は、事情の変更として、減額の話になりうるとされています。ただし、一方的に減らす方法はなく、協議や調停で見直しを求める形になります。
- 再婚したら、養育費はもらえなくなりますか?
-
養子縁組をしていなければ、再婚しただけで請求できなくなるわけではありません。養子縁組をした場合は、原則として請求できなくなるとされています。ご自身の取決めの場合にどうなるかは、法テラスか弁護士に確認してください。
- 再婚相手と子どもが養子縁組をしたら、養育費は終わりですか?
-
法テラスの案内では、原則として請求できなくなるとされています。養子縁組は、民法809条により、養子が養親の嫡出子の身分を取得し、養親が親権者になる手続です。養育費の見直しも含めて、早めに相談してください。
- 再婚したことを、元配偶者に伝えなければなりませんか?
-
再婚の事実を伝える義務を、公的な案内で定めたものは見当たりませんでした。ただし、養育費の見直しが争点になる場合は、調停の場で事情を聴かれます。隠したままにせず、窓口や弁護士に相談してから決めるのが安心です。
まとめ


- 再婚しただけでは、養育費は自動的に止まらない。実の親の扶養義務(民法877条・817条の12)は残る
- 受け取る側が再婚し、再婚相手と子が養子縁組をした場合は、原則として養育費を請求できなくなる(法テラスの案内)
- 払う側の再婚は、事情の変更の一例。ただし、一方的に減らす方法は、公的な案内に見当たらない
- 見直しは「協議→調停→審判」の順。申立先や書類は家庭裁判所のサイトで確認する
- 再婚や事実婚は、児童扶養手当やひとり親控除にも関わる。窓口で一緒に確かめる



「再婚=すぐ終わり」ではないと分かって、少し落ち着きました。まずは取決めの書類を見直してみます。



それで十分ですよ。決めつけず、事情が動いたときは、手続を使って話し合う。ひとりで抱えずに、窓口を頼ってくださいね。



