養育費に税金はかかる?確定申告・贈与税・扶養控除の扱いを国税庁の案内で整理(もらう側・払う側)

養育費に税金はかかる
相談するママ

養育費をもらうと、税金がかかるんでしょうか。確定申告もしなきゃいけないのかなって、心配で…。

運営者

気になりますよね。結論から言うと、受け取る養育費そのものには、所得税はかからない仕組みです。条文と国税庁の案内で、順番に確かめましょう。

養育費は、毎月まとまった金額が入ってくるお金です。だからこそ、「収入として税金がかかるのでは」「申告しないと、あとで困るのでは」と心配になる人は多いです。反対に、払う側にとっても、「養育費を払っている分は、税金で考慮されるのか」は気になるところです。

養育費の税金は、「もらう側」「払う側」「どんな形で受け取るか」の3つに分けて考えると、整理しやすくなります。 この記事では、所得税法と相続税法の条文、国税庁のタックスアンサーと質疑応答事例で確かめた範囲に絞ってまとめます。

最初に結論を言っておきます。

扶養義務者どうしで、扶養義務を果たすために給付される金品には、所得税はかかりません(所得税法9条1項15号)。贈与税も、生活費や教育費として通常必要と認められるもので、必要な都度直接それに充てるものは、かかりません(国税庁)。払う側は、一定の条件を満たせば、子を扶養控除の対象にできる場合があります(国税庁の質疑応答事例)。

ただし、受け取ったお金を預貯金や投資、不動産の購入にまわすと、贈与税の話が出てくることがあります。また、個別の税額や、申告が必要かどうかは、税務署や税理士に確認してください。

あわせて読みたい:養育費の相場は?年収と子の人数で決まる目安と、裁判所の算定表の見方

目次

先に整理:税金の種類別に見る

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税金・制度もらう側払う側
所得税非課税(所得税法9条1項15号)―
贈与税通常必要と認められる生活費・教育費は非課税(相続税法21条の3第1項2号)―
扶養控除―条件を満たせば、子を扶養控除の対象にできる場合がある
ひとり親控除条件を満たせば35万円の所得控除―

「もらう側が税金を払う」「払う側が控除を受ける」の2本立てではありません。受け取る側は多くの場合、税金の心配は小さく、むしろ控除や手当の計算に関わってきます。

もらう側①:所得税・住民税と確定申告

所得税は非課税(所得税法9条1項15号)

所得税法9条1項15号は、学資に充てるために給付される金品と、扶養義務者相互間において扶養義務を履行するために給付される金品には、所得税を課さない、と定めています。ただし、給与その他、対価の性質を持つものなどは除かれます。

養育費は、離れて暮らす親が、子どもを扶養する義務を果たすために払うお金です。親と子は、民法877条1項の扶養義務者にあたります。養育費が、この「扶養義務を履行するために給付される金品」にあたる、と整理するのが一般的です。

確定申告は、通常は養育費そのものについては不要

養育費が非課税所得であれば、受け取った養育費そのものを、所得として申告する場面は、通常はありません。国税庁のタックスアンサーには、養育費を受け取った人の確定申告について書いたページは、確認できませんでした。申告が必要かどうか迷うときは、税務署の相談窓口で聞くのが確実です。

ほかに収入がある場合の確定申告や、年末調整は、養育費とは別の話です。これまでどおり、給与や事業の所得について手続きをしてください。

住民税については

住民税の扱いは、国税庁の案内では確認できません。お住まいの市区町村の税務課に確認してください。

相談するママ

受け取ったお金に所得税がかからないなら、まずは安心ですね。

運営者

そうですね。ただ、「どう使うか」で贈与税の話が出てくる場合もあるので、次の見出しも見ておいてください。

もらう側②:贈与税(生活費・教育費は非課税)

養育費に税金はかかるのイメージ写真

贈与税がかからない「生活費・教育費」

国税庁の「贈与税がかからない場合」の案内では、扶養義務者から受けた生活費・教育費のうち、通常必要と認められるものには、贈与税はかからないとされています。根拠は、相続税法21条の3第1項2号です。

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項目(国税庁の案内より)中身
対象になる人夫婦・親子・兄弟姉妹などの扶養義務者から受けたもの
生活費通常の日常生活に必要な費用。治療費、養育費、その他子育てに関する費用を含む
教育費学費、教材費、文具費など
条件「通常必要と認められるもの」であること。生活費・教育費として必要な都度、直接これらに充てるためのものに限る

養育費は、国税庁の案内で、生活費の中にはっきり含まれています。

注意:預貯金にしたり、投資や不動産の購入にあてたりしたとき

国税庁の案内には、次の例が挙がっています。生活費・教育費の名目で受け取っても、それを預貯金にした場合や、株式や不動産の購入資金に充てた場合は、贈与税の対象になる、という内容です。

子どものために必要な都度使うお金は非課税。それを貯めこんだり、投資や不動産購入にまわしたりすると、贈与税の対象になりうる、という線が国税庁の案内に出ています。

毎月の養育費を、毎月の生活費や学費、習い事に使う分には、心配はいりません。ただ、使いきれずに余ったお金を、子ども名義の預金などにしていくのは、どうでしょうか。公的な案内に「ここまでは大丈夫」という金額の線は見当たりません。判断に迷うときは、税務署に確認してください。

一括で受け取るときは、特に注意

まとまった額を一括で受け取るときは、さらに注意が必要です。国税庁の案内に、「養育費の一括払いは贈与税の対象になる(ならない)」と線を引いた記述は、確認できませんでした。国税庁の案内が「必要な都度直接充てるため」のものと書いている点を踏まえると、将来分をまとめて受け取る場合は、特に慎重に見たほうがいいと考えられます。

一括払いの税金は、金額が大きいぶん、結果の差も大きくなります。受け取る前に、税務署か税理士に相談してください。

相談するママ

毎月ちょっとずつ使うぶんなら、大丈夫そうですね。

運営者

そうですね。ただ、一括で受け取る話が出たときは、先に専門家に聞いておくと安心です。

もらう側③:ひとり親控除と、児童扶養手当への影響

ひとり親控除(35万円)

養育費そのものは非課税でも、受け取る側には、ひとり親控除という所得控除があります。国税庁の案内では、控除額は35万円です。次の4つが要件です。

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要件(国税庁の案内より)中身
婚姻の状況その年の12月31日の現況で、婚姻していない(または配偶者の生死が明らかでない)
事実婚の有無事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいない
子生計を一にする子がいる。子の総所得金額等が58万円以下(令和8年分からは62万円以下)で、ほかの人の扶養親族などになっていない
所得合計所得金額が500万円以下

ひとり親控除の要件の子には、年齢の制限がありません。16歳未満の子は、扶養控除の対象にはなりませんが、ひとり親控除の要件の「生計を一にする子」にはなれます。

制度を教えてくれる人

国税庁のQ&Aでは、離婚した夫が養育費等を継続して負担して、子と生計を一にしていると認められるときも、子が夫の扶養親族にあたる場合を除いて、子は受け取る側の扶養親族になると考えられる、と説明されていますよ。

相談するママ

養育費をもらっていても、ひとり親控除は受けられるんですね。

児童扶養手当では、養育費の8割が所得に加わる

税金ではありませんが、養育費は、児童扶養手当の計算に関わります。沖縄県の案内では、一部支給の金額は「所得額(養育費の8割を加算)」に応じて決まる、と説明されています。税金では非課税でも、手当の所得の計算には、養育費の一部が加わる点は、押さえておいてください。

あわせて読みたい:母子家庭の手当に所得制限はある?児童扶養手当の限度額・親と同居・もらえない理由を整理

払う側:子を扶養控除の対象にできる?

養育費に税金はかかるのイメージ写真

国税庁の質疑応答事例:「生計を一にしている」とみてよい場合

養育費を払う側については、国税庁の質疑応答事例「生計を一にするかどうかの判定(養育費の負担)」があります。離婚後、元妻が引き取った子(16歳)の養育費を元夫が負担している場合に、その子を元夫の扶養控除の対象にしてよいか、という問いに対し、次のような回答です。

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回答のポイント(国税庁の質疑応答事例より)中身
原則離婚に伴う養育費の支払が、扶養義務の履行として、「成人に達するまで」など一定の年齢に限って行われる場合は、その支払われている期間は、原則として「生計を一にしている」ものとして、扶養控除の対象として差し支えない
「生計を一にする」とは同じ家に住んでいることではない。勤務・修学・療養などの都合で別に住んでいても、常に生活費・学資金・療養費などの送金が行われている場合は、生計を一にするものとして取り扱う

扶養控除の主な要件

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要件(国税庁No.1180より)中身
親族であること配偶者以外の親族(6親等内の血族・3親等内の姻族)
生計を一にする納税者と生計を一にしている
子の所得年間の合計所得金額が58万円以下(給与のみなら、給与収入が123万円以下の基準)。令和8年分からは62万円以下
年齢その年の12月31日現在で16歳以上
控除額の例一般の控除対象扶養親族は38万円。特定扶養親族は63万円

16歳未満の子は、扶養控除の対象にはなりません。ひとり親控除は、払う側ではなく、子と生計を一にしている側の控除です。

一時金で払った場合:信託の特例

国税庁の質疑応答事例では、養育費が一時金で支払われる場合でも、子を受益者とする信託契約(契約の解除に元夫と元妻の両方の同意が必要なものに限る)で、養育費に相当する給付金が継続的に給付されているときは、その給付されている各年について扶養控除の対象にして差し支えない、とされています。

ただし、信託の収益は子の所得になります。信託収益を含めた子の所得金額の判定と、同居する一方の親の扶養控除の対象にしていないかの確認を、毎年12月31日の現況で行う必要があります。

慰謝料・財産分与に「含めて」決めたとき

国税庁の質疑応答事例の注では、慰謝料や財産分与の総額が、養育費の支払を含むものとして決められている場合、養育費の額が明らかに区分できないときは、扶養控除の対象にすることは困難、とされています。取決めのときに、養育費の額を、他の項目と分けて書いておくと、あとの手続がスムーズです。

慰謝料・財産分与と養育費を一緒に決めるときは、養育費の額を「別の項目」として書き分けておくのが安心です。

あわせて読みたい:財産分与に税金はかかる?贈与税の原則と例外・不動産の譲渡所得・不動産取得税・登録免許税を整理

両方の親で、同じ子を控除に使うことはできない

質疑応答事例の注には、子が元夫の控除対象扶養親族にも、元妻の控除対象扶養親族にも当てはまる場合、扶養控除は、元夫または元妻のどちらか一方だけが受けられる、とあります。養育費を払っている元夫が扶養控除を受けるなら、子は元妻の扶養親族にならない形で整理されます。どちらが受けるかは、元夫婦の間で、事前に話をしておく必要があります。

別居の子を控除に入れるときの書類

国税庁のNo.1180の案内では、別居の親族を扶養控除の対象にするときは、生計を一にしていることを示す書類が必要で、仕送りの記録として、銀行振込の控えや現金書留の控えなどを確認することが勧められています。養育費の振込は、通帳や振込明細を残しておいてください。

申告のしかたと、手続の流れ

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立場手続の目安
もらう側養育費そのものの申告は通常不要。ひとり親控除は、会社員は年末調整、個人事業主などは確定申告で手続き
払う側扶養控除を受けるときは、会社員は年末調整、個人事業主などは確定申告で手続き。別居の子は、生計を一にしていることを示す書類を準備

具体的な書類の書き方や、締切は、毎年変わることがあります。国税庁のサイトか、勤務先の担当者、税務署で確認してください。

相談先

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相談先聞けること
税務署の税についての相談窓口申告が必要かどうか、扶養控除・ひとり親控除の手続
税理士一括払いや信託を使う場合の税額、個別の事情に合わせた判断
市区町村の税務課住民税の扱い
法テラス収入と資産が基準以下の人に、無料の法律相談。養育費の取り決め方などの相談

税額の計算や、申告の要否の判断は、税務署や税理士に確認してください。 この記事は、条文と国税庁の案内にもとづく整理で、結果を約束するものではありません。

よくある質問

養育費をもらったら、確定申告は必要ですか?

養育費は、扶養義務を果たすために給付される金品として、所得税が非課税とされています(所得税法9条1項15号)。受け取った養育費そのものを所得として申告する場面は、通常はありません。国税庁のタックスアンサーに、養育費の確定申告を取り上げたページは確認できませんでした。迷うときは税務署に確認してください。

養育費に贈与税はかかりますか?

扶養義務者から受けた生活費・教育費のうち、通常必要と認められるもので、必要な都度直接それらに充てるものには、贈与税はかかりません(国税庁・相続税法21条の3)。預貯金にした場合や、株式・不動産の購入資金にした場合は、贈与税の対象になるとされています。

養育費を払っている側は、扶養控除を受けられますか?

国税庁の質疑応答事例では、離婚に伴う養育費の支払が、扶養義務の履行として、成人に達するまでなど一定の年齢に限って行われているときは、原則として「生計を一にしている」ものとして、扶養控除の対象にして差し支えない、とされています。子が16歳以上であること、子の所得の要件などもあります。

養育費を一括で受け取ると、贈与税がかかりますか?

国税庁の案内に、一括払いの贈与税について線を引いた記述は確認できませんでした。「必要な都度直接充てる」ものを非課税としているので、将来分をまとめて受け取る場合は、受け取る前に税務署か税理士に確認してください。

養育費は、経費や控除として差し引けますか?

国税庁の案内で、養育費の支払額そのものを必要経費や所得控除として差し引けると定めた記述は、確認できませんでした。払う側が受けられるのは、条件を満たした場合の扶養控除です。個別の判断は、税務署か税理士に確認してください。

まとめ

養育費に税金はかかるの4コマ漫画
  • 養育費は、扶養義務を果たすために給付される金品として、所得税が非課税(所得税法9条1項15号)
  • 贈与税も、通常必要な生活費・教育費で、必要な都度直接使うものは非課税。預貯金や投資、不動産購入にまわすと、贈与税の対象になりうる
  • 一括払いや、大きな額を受け取るときは、先に税務署か税理士に確認する
  • 受け取る側は、ひとり親控除(35万円)の対象になりうる。児童扶養手当の所得計算には、養育費の8割が加わる
  • 払う側は、一定の条件を満たせば扶養控除の対象にできる場合がある。慰謝料や財産分与と一緒に決めたときは、養育費の額を分けて書く
相談するママ

税金のことは難しそうって思っていましたけど、整理すると、心配しすぎなくてよさそうです。

運営者

そう感じてもらえたなら、よかったです。迷う場面は、税務署か税理士に聞けば大丈夫。ひとりで抱えなくていいですよ。

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